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伊万里焼の赤い縁取りは「雷文」だった?|意味と由来、小さな豆皿での楽しみ方

伊万里焼の豆皿や小皿を眺めていると、縁に赤い連続模様が描かれている器に出会うことがあります。
この模様は何を意味しているのか、昔からどのように使われてきたのか。
さらに、小さな豆皿ではどのように使うと美しく見えるのか。
本記事では、古伊万里の色絵豆皿を例に、雷文の意味と使い方を分かりやすく解説します。



1. 雷文とは|ラーメン鉢にも見られる古代文様のルーツ

縁をぐるりと囲む赤い角ばった連続模様は、「雷文(らいもん)」と呼ばれる古代の幾何文様です。
中国の青銅器にまで遡る歴史を持ち、日本でも奈良時代以降、織物・建築・陶磁器など幅広く用いられてきました。

雷文の特徴は、角ばった線が連続し、途切れずに続いていくこと。
この造形には、以下のような意味が込められているとされています。

・魔除け
・永続性、繁栄
・秩序ある世界観の象徴

そのため、器の縁に雷文を配することで、“外側から身を守り、中心にある景色を守る” という象徴的な意味が加わります。

ラーメン鉢の赤い縁取りも、実はこの雷文に由来するものです。



2. なぜ伊万里焼の豆皿に雷文が描かれるのか

伊万里焼、とくに江戸後期から幕末にかけては、
赤絵と染付を組み合わせた器の縁に雷文がよく用いられました。

理由は大きく三つあります。

2-1. 縁を引き締め、器としての「枠」をつくるため

絵画でいう額縁のように、連続文が縁を整え、中心の文様を際立たせます。

2-2. 吉祥意味が好まれた

当時、雷文は魔除け・繁栄を願う吉祥文として受け入れられていました。

2-3. 中国陶磁の影響

伊万里焼の絵付けは中国絵画・陶磁の影響を強く受けており、
雷文はその象徴的な取り込み例といえます。

そのため、豆皿のような小さな器であっても、縁に雷文が入るだけで“格式と安定感”が生まれるのが特徴です。



3. 中央に描かれた「楼閣山水文」と雷文の相性

今回の豆皿には、染付で山や水、楼閣(小さな建物)が配された「楼閣山水文」が描かれています。
これは中国絵画に由来する山水表現で、静寂や理想郷を象徴する文様です。

山水文の柔らかな筆致に対し、雷文の直線が縁を引き締めることで、
器全体の“景色としての完成度”が高まる組み合わせになっています。

つまり、

山水=柔
雷文=硬

というバランスによって、小さな器でありながら一枚の絵画のような印象が生まれます。



4. 小碟のように“ほんの少し寄せて”盛るのが美しい

豆皿はどう使えば良いか、という疑問も多く聞かれます。
今回のように山水文の景色が中心に描かれた器では、全面を料理で覆わない盛り方がおすすめです。

4-1. 「中国の小碟(シャオディエ)」の発想

中国の食卓で用いられる小碟は、乾物や漬物を少量だけ寄せて置く小皿のこと。
景色を消さず、余白を活かす盛りつけが基本です。

山水文のある豆皿は、この使い方が非常によく合います。

4-2. この豆皿に合う食べもの

・干し葡萄、胡桃、甘納豆を一粒二粒
・浅漬けのひと切れ
・塩昆布をほんの少し
・黒豆、栗の甘露煮

どれも“ちょこんと添える”程度が美しく、
景色の手前に少量を寄せると、山水文に奥行きが生まれます。



5. 雷文の意味を知ると、豆皿がもっと楽しくなる

雷文は単なる装飾ではなく、
古くから「守る」「続く」「整える」という願いが込められた文様です。

その雷文が縁を固め、
中心には山水の静かな世界が広がる。
そんな伊万里焼の豆皿は、
小さな器でありながら豊かな物語を宿しています。

ほんの一粒のお茶請けを置くだけで、景色が完成する。
その余白の美しさこそ、この器ならではの楽しみ方といえるでしょう。


◆商品詳細◆

伊万里焼 色絵 楼閣山水文 輪花 豆皿

時代:明治頃

高さ:約2.5センチ

直径:約9.1センチ

一客:1,800円

状態:呉須の色味に濃淡がございます。



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