富山高岡本店
羽文(はもん)とは?|伊万里焼に見る“羽根の美”を文様化した吉祥意匠🪶
伊万里焼を眺めていると、赤絵のパネルの中に、
ふわりと流れるような曲線が連なった文様に出会うことがあります。
細い金線が羽の筋を思わせ、器全体に軽やかな動きを添えるこの模様――それが「羽文(はもん)」です。
では、羽文とはどのような由来をもち、どんな意味をもつ文様なのでしょうか。
1. 羽文の起源|鳥の羽根を抽象化した吉祥文様
羽文は、もともと 鳥の羽根を抽象化して意匠化した文様です。
東アジアの文様体系では、鳥の羽根は
飛翔
再生
生命力
瑞鳥(鳳凰など)の象徴
とされ、「吉祥(めでたさ)」を表す重要なモチーフでした。
伊万里焼では、鳳凰文・花鳥文とともに描かれることが多く、
やがて羽根そのものを独立した装飾として扱うようになったことで、羽文が確立していきます。
2. 羽文の特徴|赤絵と金彩による立体的な“羽根の流れ”
羽文には、いくつかの共通した特徴があります。
● 赤絵(朱)で面を取り、羽根の広がりを描く
朱色のパネルを大きく塗り込めるのは、江戸後期以降の色絵伊万里の典型的な手法です。
● 金彩で羽の筋(ストライプ)を強調
細く入れた金線が、“羽が光を受けてきらめく様子”を表し、輸出伊万里でも高く評価されました。
● 放射状・波状に広がる曲線
羽根の重なりを思わせる曲線が、器の表情に動きを生みます。
こうして、羽文は単なる抽象文様を超え、
器全体を華やかに見せるアクセントとして発展していきました。
3. いつ頃から使われていた?|江戸後期〜明治の色絵伊万里で定着
羽文がよく使われるのは、
江戸後期
幕末
明治前半
の色絵伊万里です。
この時期に盛んになる「区画文様(パネルデザイン)」の中で、
羽文は 花文・唐草・三角文・几帳面取り などと並び、
非常に相性のよい“万能パネル”となりました。
蕎麦猪口・膾皿・小鉢など、日常器にも幅広く見られます。
4. 羽文の意味|吉祥・調和・上昇の象徴
鳥の羽根は、古くから
天へ昇る
光を届ける
幸せを運ぶ
といった象徴性を持ちます。
とくに伊万里焼では、鳳凰(瑞鳥)の羽と結びつけられることも多く、
羽文は 吉祥・調和・繁栄 を願う意匠として用いられました。
5. 羽文が映える伊万里焼の魅力
羽文は、単独で美しいだけでなく、
他の文様との相性の良さが際立ちます。
柘榴文(豊穣の象徴)
三角区切り文(リズムを生む幾何文)
丸文・花文
唐草・七宝文
などの中に羽文を入れることで、器に動きと華やぎが加わります。
小さな蕎麦猪口などでも、ひとつ羽文が入るだけで、
全体がきらりと引き締まり、視線を誘うポイントになります。
6. まとめ|羽文は「羽根の美しさを文様化した、伊万里焼の華やぎ」
羽文とは、鳥の羽根を抽象化した吉祥文様。
赤絵と金彩の組み合わせにより、器の面に躍動感と華やかさをもたらします。
江戸後期~明治の色絵伊万里を象徴するパネル文様のひとつであり、
柘榴文や花文などと組み合わせることで、独特の立体感とリズムをつくり出す意匠です。
羽文を知って見ると、伊万里焼の器の“装飾の組み立て方”がぐっと面白くなります。
◆商品詳細◆
伊万里焼 色絵 柘榴文 蕎麦猪口
時代:明治頃
高さ:約6.3センチ
直径:約7.8センチ
一客:4,000円
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