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鳳凰文とは?|伊万里焼に見る吉祥の意匠と色彩の意味
はじめに
鳳凰文(ほうおうもん)は、伊万里焼や九谷焼、そして中国陶磁にも見られる代表的な吉祥文様のひとつです。
神聖な鳥「鳳凰」は、平和と繁栄の象徴として古代中国で尊ばれ、日本の陶磁器にも広く取り入れられました。
この記事では、鳳凰文の由来と意味、そして赤・青・金の色彩に込められた祈りの象徴について詳しく解説します。
鳳凰文とは?|平和と再生を象徴する瑞鳥
鳳凰は、古代中国の伝説に登場する霊鳥で、雄を「鳳」、雌を「凰」と呼びます。
姿は想像上のもので、鶏の頭・燕の顎・蛇の首・亀の背・魚の尾など、あらゆる生きものの美徳を兼ね備えた存在とされました。
「聖王の治世に現れる」と伝えられるこの鳥は、平和の訪れを告げる瑞鳥(ずいちょう)として尊崇され、
日本でも飛鳥時代以降、仏教美術や工芸装飾に頻繁に用いられてきました。
伊万里焼の世界では、江戸後期から明治にかけて、金彩や赤絵を駆使して鳳凰文を華やかに描いた作品が多く見られます。
とくに金襴手の伊万里では、鳳凰が雲間を舞う姿が象徴的に表され、天上世界を思わせる荘厳さを漂わせています。
赤・青・金の調和に宿る祈りの色彩
この鳳凰文の碗には、赤(朱)、青(瑠璃)、金(光)の三色が絶妙に調和しています。
それぞれの色には、古来より以下のような意味が込められています。
赤(朱):生命力・加護・慈悲
青(瑠璃):清浄・智慧・静寂
金(光):光明・仏性・神聖
これらの色彩は、中国から伝わった五行思想や仏教美術の色彩観の影響を受け、日本独自の美意識の中で再解釈されてきました。
単なる装飾としての配色ではなく、「浄化」や「吉祥」を意味する祈りの色として用いられている点が大きな特徴です。
金襴手の伊万里焼に見る鳳凰文の美
明治期の伊万里焼では、金襴手(きんらんで)による華やかな絵付けが流行しました。
金襴手とは、赤絵の上に金彩を重ねる技法で、まるで錦織(にしきおり)のような輝きを放つことからこの名がつきました。
鳳凰文はその中心的な題材として選ばれ、器全体に放射状の構図や雷文(らいもん)の縁取りが施されることで、
宇宙的な秩序と生命の循環を象徴するデザインとなっています。
このような意匠は、単に豪華な装飾というだけでなく、
「美を通して世界の調和を祈る」精神を映し出したものといえるでしょう。
まとめ|鳳凰文は“吉祥と調和”の象徴
鳳凰文は、古来より平和・繁栄・再生を象徴する瑞鳥の意匠として、
人々の祈りとともに受け継がれてきました。
赤・青・金の色彩が織りなす調和には、仏教的宇宙観や日本人の美意識が息づいています。
金襴手の伊万里焼に描かれた鳳凰は、華やかでありながらも、
どこか静謐な祈りの気配を宿す――まさに“宇宙と調和する美”の象徴です。
参考作品
伊万里焼 色絵 鳳凰文 蓋茶碗(明治頃)
高さ:約8.3cm(身:約6.5cm)/直径:約11.3cm販売価格:一客 4,000円
華やかな金襴手に、雲間を舞う鳳凰文。
祈りと調和の象徴を食卓に添える、美しい明治伊万里の一碗です。
柿右衛門手 色絵 鳳凰花文 八角形 向付
時代:明治頃
高さ:約7センチ
直径:約12センチ
一客:8,000円
豆皿 色絵 花文
時代:昭和頃
高さ:約2.5センチ
直径:約9.6センチ
一客:1,200円
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