松岡映丘まつおかえいきゅう

時代	昭和時代
カテゴリー	絵画、書画
作品種別	日本画
プロフィール	松岡 映丘（まつおか えいきゅう、1881年7月9日 - 1938年3月2日）は、大正・昭和初期にかけ活動した日本画家。本名は輝夫。 松岡映丘（まつおか えいきゅう、1881年7月9日 – 1938年3月2日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家であり、大和絵の再興と近代化に尽力した「新興大和絵」の旗手として知られています。 生涯と経歴 兵庫県神崎郡田原村（現在の神崎郡福崎町）に生まれ、本名は輝夫。父は儒学者の松岡操、兄には民俗学者の柳田國男、国文学者の井上通泰、言語学者の松岡静雄など、学者一家の末子として育ちました。 9歳で上京し、14歳頃に橋本雅邦に師事。その後、田山花袋の紹介で住吉派の山名貫義に入門し、大和絵の道に進みます。東京美術学校日本画科に入学し、1904年に首席で卒業。1908年には同校助教授となり、歴史画で知られる小堀鞆音のもとで後進の指導にあたりました。 1912年、第6回文展で「宇治の宮の姫君たち」が初入選し、一躍注目を集めます。以後、文展や帝展に「室君」、「道成寺」、「山科の宿」などの作品を発表し、評価を高めました。1921年には東京美術学校教授に就任し、1925年には「伊香保の沼」を第6回帝展に出品。1932年には「右大臣実朝」を第13回帝展に出品し、さらに評価を高めました。1935年には門下生とともに「国画院」を結成し、新たな画境を切り拓くことを目指しましたが、1938年、56歳で亡くなりました。 作風と代表作 松岡映丘は、平安・鎌倉期の古典を研究し、そこに近代的な感性を加えた「新興大和絵」を展開しました。彼の作品は、伝統的な美意識とモダンな感性を融合させたもので、現代の私たちの心をも魅了しています。 代表作の一つ「千草の丘」（1926年）は、初代水谷八重子をモデルにした作品で、明るい秋の風景の中に佇む女性を描いています。この作品は、テレビ東京系「美の巨人たち」でも取り上げられました。 また、「伊香保の沼」（1925年）や「右大臣実朝」（1932年）なども代表作として知られています。 教育者としての功績 東京美術学校（現・東京藝術大学）で教授を務め、多くの後進を育てました。彼の門下からは、橋本明治、高山辰雄、杉山寧ら、昭和期の日本画壇を牽引する画家たちが輩出されています。 また、1916年には鏑木清方、吉川霊華、結城素明、平福百穂らとともに「金鈴社」を結成し、新しい大和絵の創造に尽力しました。 展覧会と評価 2011年には、生誕130年を記念して、練馬区立美術館で大規模な回顧展「生誕130年 松岡映丘－日本の雅－やまと絵復興のトップランナー」が開催されました。この展覧会では、初期から晩年までの代表作約70点が紹介され、彼の画業の全貌が紹介されました。 松岡映丘は、古典の教養に立脚しながらも、時代に生きる作品を生み出した画家であり、その作品は今なお多くの人々に愛されています。