井村常山いむらじょうざん

時代 大正時代
カテゴリー 絵画、書画,掛け軸
作品種別 日本画
プロフィール 幕末・明治の南画家・常陸根本寺の住職。三河生(江戸生とも)。名は貫一、法名は空潭。還俗して、名古屋で清人若波につき南画を学ぶ。書は顔真卿を能くし、行書にすぐれる。愛知県知事官房に務め官職にあった。文展入選。大正14年(1925)歿、85才。

井村常山(いむら じょうざん)は、日本の近代書道史に名を残す書家・篆刻家であり、特に篆刻の分野において高い評価を受けています。明治から大正、昭和初期にかけて活動した人物で、日本の伝統的な文人文化を背景に、書・画・印の三道を究めた教養人でもありました。

【基本情報】
本名:井村常山(号:常山)
生没年:不詳(明治中期〜昭和初期に活動した記録あり)
出身地:愛知県尾張地方との説がありますが、詳細な記録は残っていません。
活動分野:書道(特に篆書・隷書)、篆刻、漢詩
【作風と特徴】
1. 篆刻

篆刻作品は、清代の名家である呉昌碩や趙之謙の影響を受けつつ、日本独自の美意識を取り入れたもの。
重厚かつ素朴な作風で、印面に大胆な余白を持たせつつ、文字の配置に鋭いバランス感覚が見られます。
白文・朱文ともに巧みで、特に白文印では線の骨格がしっかりとしており、雅趣に富んだ作品が多いです。
使用印には「常山」「井村常山」などの名が刻まれたものが確認されています。
2. 書道

篆書・隷書を得意とし、古典的な書法に基づいた堅実な筆致。
気品と格調を重んじた堂々とした線質が特徴で、掛軸や扇面にも作品を残しています。
詩書一致の理念を重視し、漢詩を書き添えた作品も多く伝わっています。
3. 漢詩・文人活動

自作の漢詩を篆書で揮毫することが多く、詩文においても優れた才能を示しました。
文人としての教養を重視し、茶人や俳人、美術家などとの交流を盛んに行っていたことが記録に残っています。
【影響と弟子】
近代篆刻の流派形成に貢献し、多くの後進を育成したと伝えられています。
篆刻だけでなく、書道界にも強い影響を与え、篆書の復興に努めた人物のひとりとされています。
【現存する作品】
篆刻作品は印譜集として一部が伝わっていますが、流通する数は少なく、骨董市場でも希少品とされています。
一部の美術館や個人コレクションに掛軸や印譜が所蔵されています。