垣内雲嶙かいとううんりん

時代	大正時代
カテゴリー	絵画、書画,掛け軸
作品種別	日本画
プロフィール	日本画家。飛騨高山生。名は徴、別号に錦嶺・右竹斎。父右嶙と塩川文麟に師事し、四条派を学ぶ。各地を遊歴したのち、京都府画学校出仕となるが、父の死去により金沢に移住。父の跡を継承する。日本絵画協会・日本美術院連合絵画共進会で入選し、上京する。文展開設では旧派の正派同志会の結成に評議として参加、日本美術協会展で受賞を重ねる。大正8年(1919)歿、73才。 垣内雲嶙（かきうち うんりん、1845年〈弘化2年〉–1919年〈大正8年〉）は、明治から大正時代にかけて活躍した日本画家で、四条派の伝統を受け継ぎつつ、独自の画風を築いた人物です。 生涯と経歴 垣内雲嶙は、現在の岐阜県高山市に生まれました。父・垣内右嶙（かきうち ゆうりん）は、京都で岡本豊彦や塩川文麟に師事した四条派の画家であり、雲嶙も幼少期より父から絵を学びました。慶応3年（1867年）頃、22歳で京都に上り、父の師である塩川文麟に師事し、さらに画技を磨きました。 明治4年（1871年）に高山に帰郷した後、諸国を遊歴し、明治17年（1884年）には京都府画学校（現・京都市立芸術大学）の教官となりました。明治24年（1891年）に父が急逝したため、金沢に移り、父の画塾を引き継いで後進の指導にあたりました。明治34年（1901年）には東京に移り、日本美術協会や日本画会などで活動を展開しました。 明治40年（1907年）には文展（文部省美術展覧会）への不出品を宣言し、正派同志会の結成に参加するなど、官展に依存しない芸術活動を志向しました。大正8年（1919年）、75歳で逝去しました。 作風と代表作 垣内雲嶙の作品は、四条派の写実的な描写と南画の詩情を融合させたもので、山水画や花鳥画、人物画など多岐にわたります。代表作には「遠山秋雨」「柳江松嶽山水図」「観世音図」などがあり、繊細な筆致と豊かな表現力が特徴です。 特に「遠山秋雨」は、絹本彩色で描かれた掛け軸で、金襴緞子裂や象牙軸を用いた豪華な仕立てが施されています。この作品は、長良川画廊のWeb書画ミュージアムで紹介されています。 教育活動と影響 垣内雲嶙は、父・右嶙が金沢で開いた画塾を引き継ぎ、多くの門弟を育てました。彼の門下からは、梶野玄山、高村右暁、玉井紅嶙（1874–1933）など、明治末期から大正、昭和にかけて石川県の日本画界の中心となって活躍する画家が輩出されました。 現在の評価と市場動向 垣内雲嶙の作品は、現在でもオークションや古美術市場で取引されています。例えば、Yahoo!オークションでは、彼の作品が平均約9,437円で落札されており、最高で17,710円の価格がついた例もあります。 垣内雲嶙は、四条派の伝統を受け継ぎつつ、独自の画風を築いた日本画家であり、教育者としても多くの後進を育てました。彼の作品は、現在でも高く評価されており、日本美術史において重要な位置を占めています。