中村伸夫なかむらのぶお

時代 昭和30年〜
標準発表価格 750,000 円
カテゴリー 絵画、書画
作品種別 現代書家・漢字作家
プロフィール 師 今井凌雪
福井県出身。

中村伸夫(なかむら のぶお)氏は、1955年に福井県で生まれた日本の書家・書道研究者であり、筑波大学の名誉教授です。書の実践と学術研究の両面で活躍し、日本と中国の書文化の架け橋として高く評価されています。

学歴と職歴
1978年:東京教育大学教育学部芸術学科卒業
1982年:筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了
1988年:筑波大学芸術学系講師に就任
2006年:筑波大学大学院人間総合科学研究科教授に昇進

また、博士論文では中国戦国時代の竹簡に書かれた老子の写本を研究し、複数の筆者による筆跡の違いや筆記技術の多様性を明らかにしました。


書家としての活動
中村氏は、日展特別会員、日本書芸院副理事長、日本書道文化協会理事、全日本書道連盟理事などを歴任し、日本の書道界で重要な役割を果たしています。

彼の作品は、篆書体や草書体など古典的な書体を用いながらも、現代的な感性を取り入れた独自の表現が特徴です。特に、筑波大学の睡眠医科学研究棟ロビーに設置された幅8メートルのガラス壁面に施された「胡蝶の夢」を題材とした篆書体の大作は、彼の代表作の一つです。

書に対する哲学と教育
中村氏は、書を単なる文字の美しさだけでなく、筆を通じて自己を発見する行為と捉えています。彼は「筆は身体の一部であり、思考を線として表現する中継の道具」と述べ、書の本質を追求しています。

また、彼は中国への留学経験を通じて、書の歴史や文化的背景に深い理解を持ち、日本の書道教育においてもその知見を活かしています。彼は、書の教育において「筆を持って書くことの方に真実がある」と強調し、実践を重視する姿勢を示しています。

研究と社会的貢献
中村氏は、書道の歴史や書体の変遷に関する研究を通じて、書の学術的な側面にも貢献しています。彼の研究は、書の起源や発展、文化的背景を明らかにし、書道の理解を深めるものです。

また、彼は書道の普及活動にも積極的に取り組み、展覧会やギャラリートークを通じて一般の人々にも書の魅力を伝えています。彼の活動は、書道の伝統を守りながらも、現代社会における書の意義を再認識させるものとなっています。

中村伸夫氏は、書の実践と研究を通じて、書道の伝統と革新を融合させる存在として、日本の書道界に多大な影響を与えています。彼の作品や思想は、書を通じた自己表現と文化理解の重要性を示しています。