谷口香嶠たにぐちこうきょう

時代 大正時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 日本画家。大坂生。名は槌之助。幸野楳嶺に師事し、菊池芳文・竹内栖鳳・都路華香と共に楳嶺門の四天王と称される。有職故実に精通し歴史画を得意とする。京美工・京都絵専教授。大正4年(1915)歿、51才。

谷口香嶠(たにぐち こうきょう、1864年9月16日 – 1915年11月9日)は、明治から大正時代にかけて活躍した日本画家で、特に歴史画の分野で高い評価を受けました。彼は京都画壇を代表する存在であり、幸野楳嶺の門下で竹内栖鳳、菊池芳文、都路華香とともに「楳嶺門の四天王」と称されました。


生涯と画業

谷口香嶠は、大阪府泉佐野市日根野に生まれ、幼少期に京都の宝塔寺に預けられ、漢籍を中心とした教育を受けました。その後、絵画に興味を持ち、独学で学びました。1882年に谷口家の養子となり、翌年に幸野楳嶺に入門し、本格的に画家の道を歩み始めました。


彼は有職故実に精通し、京都随一の歴史画家として知られました。また、工芸図案家としても活動し、『工芸図鑑』などの図案集の刊行にも尽力しました。彼の作品は、伝統的な技法を重んじつつも、西洋の写実的な描法を取り入れ、独自の画風を確立しました。

代表作と展覧会

谷口香嶠の代表作には、以下のようなものがあります:

《拈華微笑》(1895年):第4回内国勧業博覧会で三等一席を受賞。

《驟雨》(1900年):パリ万国博覧会に出品し、銅牌を受賞。

《屈原図》(1898年):練馬区立美術館所蔵。

《雲母坂春宵・板敷山秋晩図》(1913年):京都国立近代美術館所蔵。

2021年には、笠岡市立竹喬美術館で特別展「歴史を旅する谷口香嶠」が開催され、約80点の作品が展示されました。この展覧会では、彼の歴史画だけでなく、工芸図案や風俗画など、多彩な画業が紹介されました。


教育者としての功績

谷口香嶠は、京都市立美術工芸学校や京都市立絵画専門学校で教鞭をとり、多くの後進を育成しました。彼の門下には、猪飼嘯谷、伊藤小坡、津田青楓、小早川秋聲、野長瀬晩花、水越松南などがいます。彼らは、それぞれの分野で活躍し、日本画の発展に寄与しました。

谷口香嶠の作品は、現在も京都国立近代美術館や練馬区立美術館などに所蔵されており、その繊細で格調高い画風は、多くの人々に親しまれています。彼の作品を通じて、明治・大正期の日本画の魅力を感じることができます。