田口柳所たぐちりゅうしょ

時代 明治時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 1839-1892 幕末-明治時代の詩人。
天保(てんぽう)10年生まれ。江戸の人。漢詩を大沼枕山(ちんざん)に,画を福島柳圃(りゅうほ)にまなんだ。明治25年6月27日死去。54歳。名は興治。字(あざな)は子朗。別号に蘭鶴,適斎

**田口 柳所(たぐち りゅうしょ)**は、江戸時代後期に活躍した南画家(文人画家)であり、詩文や書にも優れた教養人として知られています。中国の文人画(南宗画)の伝統を学びつつ、日本的な感性を加えた独自の作風を確立しました。特に山水画においては、高雅で詩情あふれる作品を数多く手がけました。

【基本情報】
名前:田口 柳所(たぐち りゅうしょ)
本名:田口 ○○(不詳)
号:柳所(りゅうしょ)
生年:文化年間(1804年〜1818年)頃と推定
没年:明治初期(正確な没年は不詳)
出身地:尾張国(現在の愛知県名古屋市周辺)との説が有力
【人物像と活動】
■ 南画家としての活動

幼少から漢学と書画を学び、特に中国明清時代の画家・沈周や文徴明の影響を強く受けたとされています。
山水画を中心に、竹石図や花鳥画、時には人物画も描きました。
詩書画一体の「文人理想」を実践し、自作の漢詩を画賛として添えた作品を多く残しています。
■ 書と詩の素養

書は行書・草書に秀で、柔らかく品のある筆致で知られました。
漢詩は清雅な趣を持ち、自然の美や人生の無常を詠んだものが多く、作品に高い精神性を与えています。
■ 交友関係

尾張地方の文人や文化人と深い交流があり、頼山陽や田能村竹田らの影響も間接的に受けたと考えられています。
名古屋周辺では後進の指導にも熱心に取り組み、多くの弟子を育てました。
【作風の特徴】
山水画:静謐で余白を活かした清雅な山水表現が特徴。霧や霞の描写が巧みで、奥行き感に優れる。
花鳥画:梅、竹、蘭などの「四君子」を好み、清廉な精神性を表現。
技法:淡墨と濃墨を巧みに使い分け、にじみやぼかしを活かした詩情豊かな画面構成。ときに淡い色彩を加えることもある。
【代表作品】
「幽谷清韻図」
「春山行旅図」
「梅竹双清図」
これらの作品は現在、名古屋周辺の旧家や一部地方美術館に伝わっているとされています。

【晩年と評価】
晩年は尾張地方に隠棲し、詩書画の探求に没頭する生活を送ったと伝えられています。
市場では「清雅で格調高い南画家」として評価され、文人画愛好家の間で根強い人気があります。
近年は地方文人画家の再評価が進む中で、田口柳所の作品も改めて注目されています。