中野其明なかのきめい

時代 明治時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 1834-1892 幕末-明治時代の画家。
天保(てんぽう)5年3月生まれ。江戸の人。琳派(りんぱ)の鈴木其一(きいつ)の門人。維新後内務省につとめ,内国絵画共進会などに出品,明治宮殿の杉戸絵をえがく。酒井抱一(ほういつ)の「尾形流略印譜」を増補,刊行した。明治25年5月死去。59歳。別号に方琳堂,晴々斎。作品に「人物」「秋草二月」など。


中野其明(なかの きめい、1834年〈天保5年〉–1892年〈明治25年〉)は、幕末から明治時代にかけて活躍した日本画家で、江戸琳派の継承者として知られています。彼は、鈴木其一の門人であり、琳派の伝統を受け継ぎつつ、明治時代の美術界で重要な役割を果たしました。


生涯と経歴
出身と師匠:中野其明は、1834年に江戸で生まれ、父は中野敬斎です。彼は、琳派の画家である鈴木其一に師事し、絵画の技術を学びました。

内務省での勤務:明治8年(1875年)から内務省博物局に勤め、内国絵画共進会などの展覧会に出品しました。また、明治宮殿の杉戸絵を描くなど、政府の美術事業にも関与しました。

琳派の顕彰活動:彼は、酒井抱一が編纂した『尾形流略印譜』を増補し、再版するなど、琳派の伝統を後世に伝える活動を行いました。

作風と作品
中野其明の作品は、琳派の特徴である装飾的で華やかな表現を受け継ぎつつ、独自の繊細な筆致と色彩感覚が特徴です。代表作の一つである「蓬莱山図」では、旭日、鶴、亀、松竹梅などの吉祥モチーフを用い、めでたい雰囲気を表現しています。この作品には、琳派の伝統技法である「たらし込み」や群青色のアクセントが見られます。

家族と後継者
中野其明の子である中野其玉(なかの きぎょく)は、父の画風を受け継ぎ、『其玉画譜』などの図案集を刊行しました。彼も琳派の図様の普及に努め、宗達や光悦蒔絵などの模本制作を手掛けるなど、琳派の継承者として活動しました。


中野其明は、江戸琳派の伝統を明治時代に継承し、政府の美術事業にも関与するなど、近代日本画の発展に寄与した画家です。彼の作品や活動は、琳派の歴史を理解する上で重要な位置を占めています。