久保田桃水くぼたとうすい

時代 明治時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 四条派の画家。京都生。横山清暉の門に入り、師の歿後大阪に赴き、西山芳園に就いて研鑽する。明治44年(1911)歿、71才。

久保田桃水(くぼた とうすい、1841年~1911年)は、明治時代に活躍した日本画家で、四条派の伝統を受け継ぎつつも独自の写実的な作風で知られています。


略歴と画風
京都に生まれた桃水は、横山清暉に師事し、後に大阪に移って西山芳園のもとで学びました。彼の作品は、四条派の流れを汲みながらも、平明な写生を基盤とし、大阪の名所旧跡や風景を精力的に描きました。その作風は嫌味がなく、当時の人々に親しまれました。


主な活動と業績
装飾画制作:明治20年に上京し、皇居千種間の欄間や芝離宮洋館の天井画を手掛けました。また、明治31年には二条離宮(二条城)の天井画を描くために京都に移り、完成後は再び大阪に戻りました。

博覧会出品:明治35年にはイタリア万国美術展に「遊鯉の図」を出品し、遠近法を駆使した筆力で注目を集めました。

出版活動:フランスの寓話作家ジャン・ピエール・クラリス・ド・フローリアンの寓話集『フローリアンの寓話集』の挿絵を手掛け、国際的な出版物にも関与しました。

代表作と特徴
桃水の作品は、掛軸として多く残されており、以下のような題材が見られます:

自然風景:「雪中田家図」「厳島図」など、四季折々の風景を描いた作品。

動植物:「鮎」「双鴨図」「旭日群鶴図」など、生き生きとした動植物を描いた作品。

歴史・伝統:「甲冑図」「三社図」など、日本の歴史や伝統を題材にした作品。

これらの作品は、現在もオークションや美術品市場で取引されており、彼の画業の幅広さと人気の高さを示しています。

久保田桃水は、四条派の技法を基にしながらも、独自の写実的な表現で明治時代の風景や風俗を描き出しました。その作品は、当時の人々の生活や風景を今に伝える貴重な資料としても価値があります。