高橋杏村たかはしきょうそん

時代	明治時代
カテゴリー	絵画、書画
作品種別	日本画
プロフィール	幕末の画家。美濃生。名は九鴻、字は景羽、通称は友吉・惣右衛門、別号に爪雪・塵遠草堂等。京都に出て中林竹洞に南宋画を、頼山陽に書を学ぶ。詩を能くし、梁川星巌、小原鉄心らと親交を結んだ。慶応4年(1868)歿、64才。 高橋杏村（たかはし きょうそん、1804年～1868年）は、江戸時代後期の美濃国（現在の岐阜県）出身の南画家・文人画家です。名は九鴻（きゅうこう）、字は景羽（けいう）、通称は惣右衛門、別号に爪雪、鉄鼎、塵遠草堂などがあります。彼は山水画を得意とし、詩文や書にも優れた才能を発揮しました。 生涯と学問 高橋杏村は文化元年（1804年）に美濃国で生まれました。若い頃に京都へ出て、南画家の中林竹洞に師事し、南宋画の技法を学びました。また、漢詩人の頼山陽から書を学び、詩文にも通じていました。その後、美濃に帰郷し、漢詩人の梁川星巌や神田柳渓と交流を深め、昌平坂学問所の儒官・曾我耐軒から経学を学んだとされています。 教育活動と門人 弘化年間（1844年～1848年）には私塾「鉄鼎学舎」を開き、漢籍や画法の指導に努めました。彼の門人は近江、尾張、三河にまで広がり、最盛期には200人を超えたと伝えられています。主な門人には、青木篁村、末松松溪、河合秋堂、和田東川、国枝杏蹊、神保木石、北村石樵、安藤老山、永田秋田、山川雪鴻、児玉石峯などがいます。 作品と特徴 高橋杏村の作品は、山水画や花鳥画を中心に、詩情豊かな表現が特徴です。代表作の一つに『緑樹重陰・寒山行旅図』（嘉永4年、1851年）があります。これは、夏山を行く人物と冬山を馬に乗る旅人を対に描いた双幅で、横浜の三溪園に収蔵されています。また、岐阜市歴史博物館には、農耕の様子を描いた『耕作図屏風』が所蔵されています。 家族と影響 高橋杏村の長男・高橋鎌吉（号：抗水）も南画家として活動しました。鎌吉の甥にあたる原三溪（実業家・茶人・美術収集家）は、幼少期に抗水から絵を学び、南画の素養を身につけました。このように、高橋杏村の芸術的影響は家族や弟子たちに受け継がれ、後世に大きな影響を与えました。 高橋杏村の作品は、現在も美術館や古美術市場で鑑賞・取引されており、日本の南画や文人画に興味のある方にとって、彼の作品は貴重な資料となっています。特に岐阜県内の美術館では、彼の作品を所蔵・展示していることがありますので、訪れてみるのも良いでしょう。