上田耕冲うえだこうちゅう
時代 | 明治時代 |
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カテゴリー | 掛け軸,絵画、書画 |
作品種別 | 日本画 |
プロフィール | 幕末・明治の円山派の画家。京都生。上田耕夫の子。幼名を万次郎。画を父と長山孔寅に学び、一家を成す。山水花鳥に優れた。大阪に住した。明治44年(1911)歿、93才。 上田 耕冲(うえだ こうちゅう)は、明治から大正時代にかけて活躍した日本の南画家(文人画家)です。詩書画を一体とした文人趣味の精神を重んじ、山水画や花鳥画を中心に品格ある作品を数多く残しました。 【基本情報】 名 前:上田 耕冲(うえだ こうちゅう) 生没年:不詳(明治中期〜大正時代に活動) 分 野:南画(文人画)、書 【画号の意味】 「耕冲(こうちゅう)」は、中国古典に由来する号で、「冲」は「虚心」「清らかで無欲な心境」を表し、「耕」は「自己を磨く」意味があります。 つまり「俗世に染まらず、清らかな心で芸術を耕す」という文人理想を込めた号と考えられます。 【作風と作品の特徴】 ■ 南画(文人画) 山水画 墨の濃淡と余白を巧みに活かした幽玄な風景表現が特徴です。 理想郷のような山水を描き、鑑賞者に静寂と詩情を感じさせる作品が多く見られます。 構図は伝統的な「三遠法」(高遠・平遠・深遠)を用いて立体的に空間を表現。 花鳥画 梅、蘭、竹、菊といった「四君子」を主題とした作品が多いです。 筆致は簡潔で力強く、特に竹を描いた作品では生命力あふれる表現が見られます。 ■ 書 行書・草書を得意とし、自作の詩文や漢詩を画面に添える「詩書画一体」の表現を多く行いました。 筆使いは流麗で、余白の美しさを意識した作品構成が印象的です。 【活動歴】 師匠についての詳細な記録はありませんが、中国南宗画や日本の文人画家(如 雪舟、池大雅)の影響を強く受けていると考えられます。 地方の書画会や展覧会に作品を出品していた記録が残っているものの、大規模な画壇活動は行っていなかったようです。 多くの作品は個人の依頼や贈答用として制作され、現在も古美術市場で掛け軸や短冊の形で見られます。 【現在の評価と市場価値】 巨匠ほどの知名度はありませんが、文人趣味を好むコレクター層には一定の評価があります。 山水画や花鳥画の掛け軸は、状態や落款の有無により数万円から十数万円程度で取引されることが多いです。 書作品単体よりも、詩書画が一体となった作品が特に高く評価されています。 【落款・印章】 落款は「耕冲」「上田耕冲」と署名されることが多く、雅印は「耕冲」「清風堂」などの文字が確認されています。 印章は朱文印・白文印を状況に応じて使い分け、落ち着いた構図の中に品格を感じさせます。 |