滝和亭たきかてい

時代 明治時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 滝 和亭(たき かてい、文政13年1月3日(1830年1月27日) - 明治34年(1901年)9月28日)は、南画家。江戸生まれ。名は謙、字は子直、別号は蘭田。
大岡雲峰と坂本浩然に師事したのち、長崎に遊学する。日高鉄翁に学び、陳逸舟などの清国人とも交わりをもつ。安政元年(1854年)江戸に帰る。幕府に仕え、安政3年(1856年)から諸国を歴遊し、慶応2年(1866年)江戸に帰る。ウィーン万国博覧会、フィラデルフィア万国博覧会、シカゴ万国博覧会に出品し、内国勧業博覧会と内国絵画共進会では毎回受賞する。明治26年(1893年)9月25日帝室技芸員となる。美学者の滝精一は息子。弟子に、和亭の二女と縁組した原丹橋、荒井寛方の父・荒井素雲、佐藤紫煙、女流画家波多野華涯など。


滝 和亭(たき かてい、1830年〈文政13年〉1月3日 – 1901年〈明治34年〉9月28日)は、幕末から明治時代にかけて活躍した南画家で、写実的で濃麗な画風を特徴とし、国内外で高い評価を受けました。


経歴と画業
出自と修行:江戸千駄ヶ谷村(現在の東京都渋谷区)に生まれ、本名は田中長吉、後に邦之助、滝謙と改名しました。字は子直、号は水山、翠山、蘭田などを用いました。幼少期より画に興味を持ち、荒木寛快、片桐桐陰らに師事し、南北宋の画風を学びました。16歳の頃には大岡雲峰に南画・四条派の写実技法を学び、さらに漢詩や書にも研鑽を積みました。

長崎遊学:1850年(嘉永3年)、長崎に遊学し、日高鉄翁の下で長崎南画(鉄翁流)を修得しました。

展覧会での評価:1873年(明治6年)のウィーン万国博覧会、1877年の第1回内国勧業博覧会(花紋3等賞)、1881年の第2回内国勧業博覧会(妙技2等賞)、1893年のシカゴ万国博覧会(銅牌)、1895年の第3回内国勧業博覧会(妙技2等賞)などで、その描写力が国内外で高く評価されました。

宮内省との関わり:1886年(明治19年)の皇居造営の際には揮毫を担当し、1893年(明治26年)には帝室技芸員に任命されるなど、宮内省や外務省の絵画御用を務めました。

作風と代表作
画風:南画の花鳥、人物図を主とし、彩色、墨色を問わず細部まで緻密な表現を展開し、写実的で濃麗な画風が特徴的です。

代表作:
「藤花小禽図」:東京富士美術館に所蔵されており、藤の花と小鳥を描いた繊細な作品です。
藤美財団
「闔家全慶」:東京国立近代美術館に所蔵されており、明治時代後期においても江戸時代の伝統的な画題を守り、古風な描写を重んじる作風が色濃く反映されています。

国際的な評価と展覧会
滝和亭の作品は、国内外の博覧会で高い評価を受けました。また、2019年から2020年にかけて、イギリス・リヴァプールの世界博物館で「自然を描く―滝和亭の日本」展が開催され、彼の画業に関する稀少な資料として、絵画教授用や主要作品の準備のために製作した精巧な下絵が公開されました。

印章と号
滝和亭は多くの印章や号を用いており、「和亭居士」「和亭主人」「蘭田」「蘭田生」「蘭田香者」「謙」「臣謙和印」「和亭」「飛華入硯池」「茗渓漁長」「家住茶渓上」「一江秋月」「紅雪香處」「蒼古」「字子直號蘭田」「日思君十二時」「造花為師」「括澹自如」「我伴梅華伴我」などがあります。

滝和亭は、明治時代における南画の大家として、国内外で高い評価を受けました。彼の作品は、現在も美術館や博物館で鑑賞することができ、その繊細な描写と写実的な画風は、多くの人々に感動を与え続けています。