橋本雅邦はしもとがほう

時代	明治時代
カテゴリー	掛け軸,絵画、書画
作品種別	日本画
プロフィール	橋本 雅邦（はしもと がほう、男性、天保6年7月27日（1835年8月21日） - 明治41年（1908年）1月13日）は、明治期の日本画家。本名は長郷。幼名は千太郎。号は勝園。 **橋本雅邦（はしもと がほう、1835年〈天保6年〉– 1908年〈明治41年〉）**は、幕末から明治時代にかけて活躍した日本画家であり、狩野芳崖とともに「近代日本画の父」とされる人物です。伝統的な狩野派の技法を土台にしながら、明治政府や岡倉天心、フェノロサらの支援を受けて、日本画の近代化を推進しました。東京美術学校（現・東京藝術大学）の初代教授としても知られ、多くの後進を育てました。 基本情報 名前：橋本 雅邦（はしもと がほう） 本名：橋本保（たもつ） 生年：1835年8月21日（天保6年） 没年：1908年1月13日（明治41年） 出身地：武蔵国江戸（現在の東京都） 流派：狩野派 → 近代日本画 弟子：横山大観、下村観山、菱田春草など多数 略歴と活動 1. 幕末：狩野派の修業 狩野派の門人となり、幕府の御用絵師として活動。 幕府瓦解後、一時期画業を離れるが、やがて復帰。 狩野芳崖らとともに、伝統的な日本画に革新を加え始める。 2. 明治期：近代日本画の確立 フェノロサや岡倉天心の支援を受け、日本画の近代化運動に参加。 東京美術学校（1889年設立）の日本画科主任教授として教育の中核を担う。 文展（文部省美術展覧会）の審査員にもなり、国家的な画家として地位を確立。 作風と芸術的特徴 1. 伝統技法を基盤にした構成力 狩野派で学んだ厳格な構図力、筆致、装飾性を基盤に、明治期の新たな表現を加える。 線描と色彩の均衡を重視し、静謐な画面構成を得意とした。 2. 西洋画からの吸収 フェノロサを通して西洋絵画の明暗法や写実性に触れ、それらを日本画の中に取り入れることに成功。 ただし、狩野芳崖ほど極端な写実主義には傾倒せず、**「伝統と革新の調和」**を追求した。 3. 詩情と格調のある自然表現 山水画、花鳥画、歴史画において、東洋的な精神性と自然への敬意を込めた表現が多い。 主な代表作 作品名 特徴 所蔵 日蓮上人辻説法図 力強く精神的な人物表現、文展で高評価 東京藝術大学大学美術館 落葉帰根図 晩年の代表作。東洋思想を象徴する画題 同上 不動明王図 日本の仏教的主題を西洋的構図で再構成 個人蔵・模写あり 教育者としての業績 東京美術学校（東京藝大）の日本画科創設メンバー・初代教授 育てた代表的な門下生： 横山大観 下村観山 菱田春草 川合玉堂 「近代日本画の体系」をつくりあげ、後の日本美術院や文展・帝展の基盤を作る 同時代の画家との比較 画家 特徴 関係性 狩野芳崖 精神性と西洋的写実に傾倒 芳崖の盟友。共に近代日本画創成に関わる 橋本雅邦 構成と格調を重視。調和型 教育者・制度構築者としても大きな役割 横山大観 詩情的朦朧体で革新 雅邦の弟子。日本画の新世代を担う 芳崖との違い 芳崖：宗教性・精神性を表現、より革新的・象徴的 雅邦：伝統の整理と形式美、教育・制度構築にも尽力 橋本雅邦の意義と評価 狩野派から近代日本画への橋渡し的存在 「制度」と「美術教育」の柱として明治政府の芸術政策に貢献 画家としても教育者としても近代日本美術の基礎を築いた 死後もその画風と教育理念は、帝展・日展を通じて長く影響を与える まとめ 項目 内容 名前 橋本雅邦（はしもと がほう） 生没年 1835年～1908年 出身 江戸（東京） 流派 狩野派 → 近代日本画 代表作 『日蓮上人辻説法図』『落葉帰根図』など 教育 東京美術学校日本画科初代教授、弟子に大観・観山ら 評価 「制度」と「美術」の両面で近代日本画を確立した中心人物