羽川珍重はねかわちんちょう

時代	江戸時代
カテゴリー	掛け軸,絵画、書画
作品種別	浮世絵
プロフィール	羽川 珍重（はねかわ ちんちょう、延宝7年〈1679年〉? - 宝暦4年7月22日〈1754年9月8日〉）とは、江戸時代初期の浮世絵師。 羽川珍重（はねかわ ちんちょう、1679年または1680年頃生まれ – 1754年）は、江戸時代中期に活躍した浮世絵師で、特に役者絵や風俗画で知られています。彼の作品は、当時の庶民文化や風俗を描写する貴重な資料として評価されています。 来歴と人物像 本名：真中元信（または冲信） 通称：太田弁五郎 号：絵情斎、三同宣観居士など 出身地：武蔵国川口（現在の埼玉県川口市） 師匠：初代鳥居清信 羽川珍重は、若くして江戸に出て鳥居清信に師事し、役者絵や芝居絵を学びました。生涯独身を貫き、武道をたしなみ、常に言行を慎む真面目な人物だったと伝えられています。また、絵で生計を立てていましたが、気が向かなければ依頼があっても描かないという頑固な一面もあったようです。 作風と代表作 羽川珍重の作風は、師である鳥居清信の影響を受けつつも、より柔らかく繊細な描写が特徴です。特に風俗人物画に優れ、当時の庶民の生活や風習を生き生きと描き出しています。 主な作品 『吉原丸鑑』：享保5年（1720年）刊行の遊女評判記で、挿絵を担当。 『役者芸品定』：享保7年（1722年）刊行の役者評判記で、挿絵を担当。 『富士権現筑波の由来』：国立国会図書館所蔵の赤本で、第7丁表の挿絵に「羽川珍重圖」とあります。 「江戸町西田屋内こゝのゑ」：大々判丹絵で、ボストン美術館所蔵。 「西行法師」：墨摺絵筆彩で、ボストン美術館所蔵。享保9年（1724年）の絵暦。 「彦根屏風模本」：紙本着色で、延享2年（1745年）の作。彦根屏風に描かれた二人の人物を忠実に模写した作品で、珍重の画技の高さを示しています。 晩年と死去 晩年、羽川珍重は仏門に入り、三同宣観居士と称しました。延享3年（1746年）には、北大桑の香取神社に「神楽絵馬」を奉納し、自画像と小引（短い序文）一巻を子孫に残しましたが、他の物は火災により焼失したといわれます。宝暦4年7月22日（1754年9月8日）、下総国葛飾郡川津間の郷士、藤沼氏の家で没しました。享年76歳。墓は江戸下谷池之端の東淵寺にあります。 門人と影響 羽川珍重の門人として、羽川藤永や羽川和元の名が挙げられますが、これらは珍重の別名であるとの説もあり、その関係は明らかではありません。しかし、彼の作品は後の浮世絵師たちに影響を与え、江戸時代中期の浮世絵の発展に寄与しました。 現存作品と所蔵先 羽川珍重の作品は、以下の美術館や図書館で所蔵・展示されています： ボストン美術館：「江戸町西田屋内こゝのゑ」「西行法師」など。 大英博物館：「Travelling nun as Tokiwa Gozen at Fushimi」など。 立命館大学アート・リサーチセンター：「松の内のんこれ双六」など。 国立国会図書館：『富士権現筑波の由来』など。 これらの作品は、当時の風俗や文化を知る上で貴重な資料となっており、研究や鑑賞の対象となっています。 羽川珍重は、江戸時代中期の浮世絵師として、役者絵や風俗画を通じて当時の庶民文化を描写し、後世に貴重な資料を残しました。その作品は、現在でも国内外の美術館や図書館で所蔵・展示されており、浮世絵の魅力を伝え続けています。