柳々居辰斎りゅうりゅうきょしんさい

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 柳々居 辰斎(りゅうりゅうきょ しんさい、生没年不詳)とは、江戸時代後期の浮世絵師。

柳々居辰斎(生没年不詳)

柳々居辰斎(りゅうりゅうきょ しんさい)は、
江戸時代中期に活躍した浮世絵師であり、特に草創期の浮世絵版画に重要な役割を果たした人物です。

◆ 名前・号について
本名は不詳。
号は「柳々居辰斎」。
ほかに「辰斎」、「辰斎筆」などと署名しています。
「柳々居」というのは雅号的なもので、特に彼自身の工房名や流派の名ではありません。
活動時期

18世紀初頭から中ごろ、享保年間(1716~1736年頃)を中心に活動していたと考えられています。
つまり、**菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)**らが浮世絵版画を確立したあと、
次の世代にあたる絵師です。
作品ジャンル・特徴

柳々居辰斎の作品は、主に以下のジャンルに分類されます。

1. 初期浮世絵版画
草創期の浮世絵らしく、モノクロ(墨一色)で摺られたものや、 部分的に手彩色を施した版画(丹絵)を多く制作。
美人画、遊女図、町人風俗を題材としたものが中心。
2. 肉筆画
肉筆浮世絵(絵師が直接絹や紙に描いた作品)も現存しています。
肉筆では、線描を活かしながらも柔らかい表現が特徴で、
華やかさよりも控えめで優美な雰囲気を持っています。
3. 風俗画
当時の江戸庶民の生活や町の女性たち、遊里の情景を生き生きと描写。
作風の特徴

線がしなやかで細やか
→ 初期浮世絵に多い、力強い輪郭線ではなく、柔らかな流れをもった線描。
人物表現が優美
→ 女性像は楚々とした雰囲気があり、歌麿ら後世の絵師たちの美人画にも影響を与えたと考えられます。
構図は簡潔
→ 背景はあまり描き込まず、人物を主体としたシンプルな画面構成。
評価・歴史的位置づけ

柳々居辰斎は、菱川師宣に続く第二世代の重要な浮世絵師と位置づけられます。
浮世絵が「芝居絵・遊女絵」として広く庶民に普及していく過程において、
より洗練された人物表現を開拓した絵師ともいえます。
ただし、辰斎本人の生涯や門人についてはほとんど記録が残っておらず、謎が多い人物です。
同時代の他の絵師(例:奥村政信、西川祐信など)と比べても、知名度はやや低いですが、
専門家や研究者の間では非常に高く評価されています。
まとめ

柳々居辰斎は、18世紀前半に活躍した浮世絵草創期の絵師。
美人画や町人風俗画を得意とし、線描の美しさが特徴。
肉筆画と初期版画の双方で活動したが、生涯はほとんど謎に包まれている。
後世の美人画表現に間接的な影響を与えた可能性が高い。