鳥高斎栄昌ちょうこうさいえいしょう

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 鳥高斎 栄昌(ちょうこうさい えいしょう、生没年不詳)とは、江戸時代中期の浮世絵師。


鳥高斎栄昌(ちょうこうさい えいしょう)とは

鳥高斎栄昌(生没年不詳、18世紀後半活動)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師で、特に美人画で知られています。
活動時期は**天明年間(1781〜1789年)から寛政年間(1789〜1801年)**頃にかけてとされます。

名前の「鳥高斎(ちょうこうさい)」は画号であり、「栄昌(えいしょう)」が一般に通称されています。

生涯と背景

出身地や生年、没年などは不詳です。
師匠についても確実な記録はありませんが、作風から鳥居派(特に鳥居清長の流れ)との関連を指摘されることがあります。
美人画の世界で独自の地位を築き、特に三枚続きの大判美人画(横に3枚を並べる大型作品)で知られています。
作風と特徴

1. 美人画中心
栄昌の代表作はほとんどすべて美人画です。
特に、町娘・遊女・芸者など、当時の都市生活に生きる女性たちの日常を端麗に描きました。
2. ほっそりした美人像
栄昌の描く女性は、細身で背が高く、しなやかな体つきが特徴です。
顔立ちはあっさりしていて、穏やかで控えめな表情をしています。
鳥居清長が確立した「八頭身美人」のスタイルに影響を受けていますが、より柔らかい雰囲気を持っています。
3. 三枚続き作品
栄昌は三枚続(みつまいつづき)の大判錦絵作品を得意としました。
大判3枚を横に並べて、一つの風景や場面を表現する豪華な形式で、当時の流行でした。
4. 色彩と構図
着物の模様は比較的落ち着いたデザインが多く、背景もシンプルで、人物を際立たせる構図を取ります。
色遣いも穏やかで、華美になりすぎず、優雅な世界観を作り出しています。
主な作品

「見立三囲図」(三枚続)
3人の女性たちが桜の下でくつろぐ様子を描いたもの。栄昌らしい伸びやかな女性像が特徴です。
**「江戸風俗美人」**シリーズ
都市の女性たちの暮らしをテーマにした連作です。
「茶屋風景図」(三枚続)
茶屋で休息する町娘たちを描いた作品で、背景の描写も丁寧です。
これらの作品は、現在、東京国立博物館、出光美術館、ボストン美術館などに所蔵されています。

評価と影響

栄昌は、鳥居清長と喜多川歌麿の中間的存在として評価されています。
清長の「スタイル重視の美人表現」と、歌麿の「表情豊かな個性重視の美人画」の中間に位置する存在といえます。
美人画の発展過程において、清長から歌麿へと至る重要な橋渡し役のひとりと考えられています。
ただし、活動期間が短く、作品数も限られているため、一般的な知名度はやや低いです。

鳥高斎栄昌のまとめ


項目 内容
活動時期 天明〜寛政年間(1781〜1801年頃)
得意分野 美人画(三枚続の大判作品)
画風 ほっそりした優雅な女性像、穏やかな色彩
師匠 不詳(鳥居清長の影響が濃い)
評価 清長と歌麿の間を埋める存在、端麗で上品な美人画を確立
付記:栄昌と清長・歌麿との比較


特徴 鳥居清長 鳥高斎栄昌 喜多川歌麿
女性像 背が高く、スタイリッシュ 細身で柔らかく上品 肉感的、感情豊か
色彩 明るく華やか 穏やかで上品 鮮やかでドラマチック
主題 日常生活の一場面 町娘・遊女の姿 個性ある女性の肖像