栄松斎長喜えいしょうさいちょうき

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 栄松斎 長喜(えいしょうさい ちょうき、生没年不詳)は、江戸時代中期の浮世絵師。

栄松斎長喜(えいしょうさい ちょうき)

概要

栄松斎長喜は、江戸時代後期(19世紀初頭)に活躍した浮世絵師です。
特に美人画を得意とし、柔らかく、典雅な雰囲気を持つ作品を多く制作しました。

長喜は、**喜多川歌麿(きたがわ うたまろ)**の影響を強く受けた画風を特徴とし、
歌麿没後の時代に、歌麿風美人画を継承・発展させた絵師の一人です。

生涯

生年・没年:不詳
くわしい生年・没年は記録が残っていません。
活動時期
主に**文化年間(1804〜1818年頃)**を中心に活躍しました。
出自・師匠
明確な師弟関係は不詳ですが、作風から見て、
喜多川歌麿に強い影響を受けたか、もしくは間接的にその流れをくむ存在だったと考えられています。
作風と特徴

美人画を中心に活動
長喜の中心テーマは、美人画です。
特に町人層の若い女性、遊女、芸者などを繊細に描きました。
優美で上品な女性像
女性の姿勢や仕草が自然で、どこか静かな気品をたたえた美人像を得意としました。
歌麿のやや官能的な美人画に比べると、しっとりと落ち着いた雰囲気が特徴です。
柔らかな輪郭線と淡い色彩
輪郭線は細く、滑らかで、色遣いも淡くやさしい調子を好みました。
服の文様や背景も控えめにまとめ、人物を引き立たせています。
中判サイズの錦絵が多い
春信以来続く伝統的な中判サイズ(縦長の中型版)を多く使用しました。
大判作品も一部制作
活動後期には、流行に合わせて大判錦絵(より大きな版型)の美人画も手がけました。
主な題材

四季の美人風俗
季節ごとの衣装や遊びを取り入れた美人画。
遊女・芸者の日常
遊里(吉原)を舞台に、洒落た装いの女性たちを描く。
母子図
子どもと一緒に描かれる女性像もいくつかあり、家庭的な一面を表現しました。
現存する代表作

『四季美人図』シリーズ
春夏秋冬に合わせた装いと背景で、美人たちの四季を表現した連作。
『吉原の遊女図』
吉原の華やかな遊女たちを描いた大判錦絵。
歌麿風の影響が見られる優美な表情と身のこなし。
『母子遊び図』
母と子の穏やかな日常を描いた作品。情感豊かで、当時の町人社会の理想像が投影されています。
歴史的評価

歌麿様式の継承者
長喜は、歌麿の死(1806年)以降、失われつつあった抒情的な美人画スタイルを継承し、
自分なりに洗練させて作品に反映させたと評価されています。
江戸後期美人画の重要な絵師
鳥居清長(きよなが)や喜多川歌麿の後を受け、江戸後期の美人画を支えた中堅絵師の一人です。
現存作品数は比較的少ない
浮世絵史上ではやや知名度が低く、現存する作品数も限られていますが、
その画風は江戸後期の典型的な町人文化をよく伝えています。
まとめ

江戸後期に活躍した浮世絵師
美人画を中心に制作、優美で落ち着いた作風
喜多川歌麿の影響を強く受けたスタイル
四季の美人風俗、遊女、母子などを描いた
現在は知る人ぞ知る、江戸美人画の隠れた継承者