北尾重政きたおしげまさ

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 北尾 重政(きたお しげまさ、元文4年〈1739年〉 - 文政3年1月24日〈1820年3月8日〉)とは、江戸時代中期の浮世絵師。北尾派の祖。

北尾重政(きたお しげまさ)

概要

北尾重政(生没年不詳、18世紀中頃に活躍)は、
江戸時代中期の浮世絵師であり、特に紅摺絵(べにずりえ)や初期錦絵の制作で知られます。
彼は、浮世絵が多色摺り(錦絵)へと移行していく過渡期に活躍した絵師の一人であり、
鈴木春信(すずき はるのぶ)と並ぶ存在として重要視されています。

また、後に有名になる**北尾政美(のちの鍬形蕙斎 くわがた けいさい)**の師匠であり、
北尾派(北尾流)の始祖的存在でもあります。

生涯

生年・没年
詳細な生年・没年は不明ですが、
作品活動期から、**宝暦〜明和年間(1751〜1772年頃)**に活躍していたと推定されます。
活動拠点
主に江戸(現在の東京)で活動しました。
師匠・門人
師匠については不明ですが、
自身が中心となって北尾派(きたおは)を興し、後に北尾政演(きたお まさのぶ)、**北尾政美(きたお まさよし、鍬形蕙斎)**らを輩出しました。
作風と特徴

紅摺絵を得意とする
錦絵が一般化する直前の時代、墨線と紅色(場合によっては黄土色など)を使った紅摺絵を多く制作しました。
美人画・風俗画・役者絵を幅広く制作
特に美人画や町人文化を主題とした作品を得意とし、明るく快活な江戸風俗を描きました。
柔らかくおおらかな表現
鈴木春信に比べると線描がやや太く、人物に親しみやすさ、庶民的な温かみを持たせる傾向があります。
華やかさと素朴さのバランス
町人文化の賑わいを活き活きと描く一方で、過度に装飾的にならず、素朴で落ち着いた美しさを持っています。
版元との連携で絵本(読み物)の挿絵も制作
浮世草子や名所案内、滑稽本などの挿絵にも手を広げました。
主な代表作

『風流やつし源氏(ふうりゅう やつし げんじ)』
源氏物語の場面を、当時の江戸町人風俗に見立てて描いた作品群。
鈴木春信と並ぶ、当時の見立絵ブームを代表するシリーズ。
『四季の風俗図』
四季折々の江戸庶民の生活を紅摺絵で描いたもの。
素朴な親しみやすさが魅力。
『美人立姿図』
江戸の町娘を描いた紅摺美人画。
春信に比べるとふっくらした体型で、健康的な美人像が特徴。
歴史的意義

紅摺絵から錦絵への移行期を支えた絵師
北尾重政は、紅摺絵の表現を極めながら、
のちに錦絵(多色摺り浮世絵)へと発展する素地を作った絵師です。
町人文化の担い手
武士や貴族ではない、江戸町人たちの活き活きとした生活をテーマに描き続けたことで、
浮世絵が庶民の芸術となる道筋を支えました。
北尾派を創設
彼の画風や流儀は、弟子たちによって受け継がれ、
特に鍬形蕙斎(北尾政美)は、北尾重政の流れをくみながら、戯画や風俗画をさらに発展させました。
まとめ

江戸時代中期に活躍した浮世絵師
紅摺絵を中心に美人画・役者絵・風俗画を制作
鈴木春信と並ぶ、錦絵誕生直前期の代表的絵師
素朴で親しみやすい町人文化の絵を得意とした
北尾派(きたおは)の祖であり、鍬形蕙斎ら後継者を育てた