前川泰山まえかわたいざん

時代 昭和12年〜
カテゴリー 翡翠、瑪瑙、砡、珊瑚、象牙など
作品種別 全日本珊瑚美術彫刻協会
プロフィール 師 正融
高知県出身。

前川泰山(まえかわ たいざん)氏は、日本の珊瑚彫刻界を代表する名匠であり、革新的な技術と独創的な作品で知られています。​

経歴と受賞歴
1937年(昭和12年) 高知県高知市に生まれる。
1953年(16歳) 足の障がいにより看板絵師の夢を断念し、「福島珊瑚店」に入社。 ここで珊瑚彫刻の道を歩み始める。
1974年 独立し、自身の工房を設立。
平成13年(2001年) 黄綬褒章を受章。
その他、通産大臣賞、労働大臣表彰(現代の名工)、昭和天皇による御買上賜るなど、多数の受賞歴を持つ。 ​

技術と作風の特徴
前川氏は、伝統的な「一木彫り」にとらわれず、複数の珊瑚を組み合わせる「寄木彫り」技法を考案しました。 これにより、より自由でダイナミックな表現が可能となり、希少な珊瑚資源を有効に活用することができました。 ​

また、従来の縁起物や仏像に加え、猫や小鳥、唐辛子など、ユーモアあふれるモチーフを取り入れた作品も多数制作しています。 これらの作品は、現代的な感性と伝統技術の融合として高く評価されています。 ​


主な作品と活動
「翁面」「般若面」 高知県産の桃赤珊瑚を使用した能面シリーズ。 精緻な彫刻で知られています。
「春うらら」 猫と小鳥をモチーフにした作品で、温かみのあるデザインが特徴です。
「出世兜」 端午の節句を祝う兜の彫刻で、力強さと繊細さを兼ね備えています。
これらの作品は、国内外の展覧会やオークションで高い評価を受けており、皇室への献上品としても知られています。 ​

現在、高知市東石立町にある「前川珊瑚工房」にて、4人の弟子とともに年間約100点の作品を制作しています。 注文制作を中心に、自由な発想で新たな作品づくりに取り組んでいます。 ​

前川泰山氏の作品は、伝統と革新を融合させた唯一無二の芸術品として、多くの人々に愛されています。 その技術と情熱は、今後も日本の工芸界に大きな影響を与え続けることでしょう。​