平林静斎ひらばやしせいさい

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 墨蹟・書
プロフィール 1696-1753 江戸時代中期の書家。
元禄(げんろく)9年生まれ。江戸室町の帳屋鍵屋清左衛門の子。12歳で細井広沢(こうたく)の門にはいり,草書,隷書をまなぶ。のち一家をなし,門人二千余人といわれた。佐藤直方について儒学をおさめた。宝暦3年8月21日死去。58歳。名は惇信(あつのぶ)。字(あざな)は明義。通称は庄五郎。別号に桐江山人。

平林静斎(ひらばやし せいさい、生没年不詳)は、江戸時代中期の儒者・思想家で、特に尊王論・陽明学の系譜に連なる思想家として知られています。詳細な伝記が残されていないことから、謎の多い人物ではありますが、彼の思想や言動は幕末の尊王攘夷運動、そして水戸学や国学者にも間接的な影響を与えたと考えられています。

◆ 生涯と人物像(伝えられる範囲)

出身地や生年などの詳細は不明。しかし、諸説では信州または江戸出身とも言われています。
名は邦彦(くにひこ)。字は子正(しせい)。通称は平林静斎。
陽明学や**中江藤樹(近江聖人)**の学問に影響を受けながら、自らの道徳的実践を重視する立場を確立。
私塾を開き、教育者としても活動しました。
◆ 思想と学問の特色

◉ 陽明学的な実践重視
平林静斎の思想は、朱子学の理論中心的な学問に対し、実践を重視する陽明学的な立場でした。
「知行合一」や「致良知」といった考えに共感し、学問とは行動に現れるべきものであると説きました。
◉ 尊王・道義的精神
幕府や武家支配に批判的な視点を持ち、天皇中心の道義国家を理想とする思想を展開。
幕末の尊王攘夷思想の先駆的存在ともいわれ、のちの水戸学や国学との共鳴点も多いです。
◆ 門下・影響を受けた人物

直接の高弟についての記録は乏しいものの、吉田松陰や佐久間象山といった幕末思想家たちに影響を与えたとする評価もあります。
特に「儒教的道徳を基礎とした政治変革思想」という点で、思想的な系譜の中に位置づけられています。
◆ 著作と記録

代表的な著作として以下が伝えられます:
『静斎文集』
『静斎先生語録』
『経世遺稿』
これらは江戸後期~幕末の一部の志士に読まれ、在野の儒者としての思想が再評価されています。
◆ 後世の評価

平林静斎は、朱舜水や藤樹、熊沢蕃山と並び、日本儒教思想の一系譜として位置づけられます。
特に、江戸幕府の公式学問である朱子学とは距離を置いたため、公的記録にはあまり登場しない人物です。
しかし、近代以降の思想史研究では「日本独自の儒学思想の流れ」において再評価されつつあります。
◆ まとめ


項目 内容
名前 平林静斎(邦彦)
活動時期 江戸中期(18世紀頃)
影響を受けた学問 陽明学・中江藤樹の実践思想
特徴 知行合一、尊王思想、在野の思想家
主な著作 『静斎文集』『経世遺稿』など
後世への影響 幕末の思想家に思想的刺激を与えた