住吉如慶すみよしじょけい

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 絵画
プロフィール 住吉如慶(すみよし じょけい、1599年~1670年)

**住吉如慶(すみよし じょけい)**は、江戸時代初期の絵師であり、住吉派(すみよしは)を確立した重要な人物です。彼は、大和絵(やまとえ)の復興を目指し、幕府の御用絵師として活躍しました。その後、住吉派は江戸時代を通じて発展し、幕府の公式な絵師集団としての地位を確立しました。

1. 生涯

① 幼少期と狩野派での修行
1599年(慶長4年)、京都に生まれる。
幼名は「住吉弘貞(すみよし ひろさだ)」。
幼い頃から絵の才能を示し、狩野派(かのうは)の絵師として修行を積む。
当時、狩野派が幕府の公式な絵師として活躍しており、如慶も狩野派の技法を学んだ。
② 住吉派の確立
狩野派の画風に満足せず、伝統的な大和絵を復興させることを決意。
大和絵は、平安時代から続く日本独自の絵画様式であり、如慶はこれを発展させることを目指した。
その結果、彼は**「住吉派」**と呼ばれる画派を確立し、幕府の庇護を受けるようになる。
③ 御用絵師としての活躍
徳川家光(江戸幕府第3代将軍)のもとで幕府の御用絵師となる。
幕府の公式な障壁画や絵巻物の制作を担当し、住吉派の地位を確立。
特に、歴史画や物語絵巻に優れた作品を多く残した。
④ 晩年と死去
住吉派の基礎を固めた後、**1670年(寛文10年)**に死去。
息子の住吉具慶(すみよし ぐけい)が後を継ぎ、住吉派を発展させた。
2. 画風と特徴

住吉如慶の画風は、大和絵の伝統を受け継ぎつつ、狩野派の技法も取り入れた独自の様式を持っています。

① 大和絵の復興
大和絵は、日本の物語や風景を鮮やかな色彩と繊細な線で描く絵画様式。
如慶は、平安時代や鎌倉時代の大和絵を研究し、その技法を復活させた。
代表的な題材は、『源氏物語』や『伊勢物語』などの物語絵巻。
② 狩野派の影響
幼少期に狩野派で修行したため、狩野派の力強い筆遣いや構図の工夫を取り入れた。
そのため、住吉派の作品には、装飾的な美しさとダイナミックな構成が見られる。
③ 精密な風景描写
自然の風景や建築物を詳細に描く技法を発展させた。
これにより、後の住吉派の絵師たちが絵巻や地図絵、洛中洛外図(らくちゅうらくがいず)などを得意とする基盤を築いた。
3. 代表作

住吉如慶の作品は、江戸幕府の公式な絵師として制作されたため、現存するものは限られていますが、以下の作品が特に有名です。

① 『洛中洛外図屏風(らくちゅうらくがいずびょうぶ)』
京都の町並みや風俗を描いた屏風絵。
建物や人々の様子を詳細に描写し、江戸時代初期の京都の姿を伝える貴重な資料。
② 『源氏物語絵巻』
平安時代の物語絵巻を大和絵の技法で復元。
色彩が鮮やかで、物語の情景を繊細に描いている。
③ 『駿河御覧記(するがおらんき)』
徳川家康の駿府(現在の静岡県)での生活を描いた絵巻。
幕府の歴史を記録する重要な作品。
4. 住吉如慶の影響

① 住吉派の確立
住吉派は、如慶が確立した画派であり、その後、江戸時代を通じて発展。
**如慶の子・住吉具慶(ぐけい)**が跡を継ぎ、幕府の公式な絵師として活動。
② 江戸幕府の公式絵師としての地位
住吉派は、狩野派と並び、幕府の公式な絵師として重用されるようになる。
寺社や城の障壁画、絵巻物の制作を担当し、日本美術の発展に貢献。
③ 近代日本画への影響
住吉派の大和絵復興の試みは、明治時代の日本画の流れにも影響を与えた。
明治以降の画家たちは、住吉派の技法を参考にしながら、新しい日本画を生み出していった。
5. まとめ

✅ 住吉如慶は、江戸時代初期の絵師であり、住吉派の創始者。
✅ 狩野派で学んだ後、大和絵の復興を目指し、幕府の御用絵師として活躍。
✅ 『洛中洛外図屏風』『源氏物語絵巻』など、精密な風景画や物語絵巻を制作。
✅ 住吉派は、後に幕府の公式絵師集団として発展し、江戸美術の発展に寄与。
✅ 大和絵の伝統を復興し、日本美術の歴史に大きな影響を与えた。

住吉如慶は、狩野派とは異なる大和絵の美を再評価し、住吉派を確立した重要な画家です。その流れは江戸時代を通じて受け継がれ、後の日本美術の発展に大きな影響を与えました。